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運動による痛みの緩和

 長引く痛みはその原因がはっきりとしないことが多く、


患者さんは症状が進行しないか不安になったり、


「自分は悪い病気なのでは?」と不安を感じたり、


「こういった事はやってはいけない」などの思い込みから、


行動を制限していまいがちです。



 近年、痛い時は安静にするといった考えから、


身体を動かさないと回復が遅れるという考え方に変わってきました。




 ぎっくり腰などの急性痛であっても、動かない期間が長くなるほど回復に時間がかかる事が分かっています。


痛みの悪循環

 膝の痛みで通院されている患者さんは、


膝のレントゲンを撮った時に、「軟骨がすり減ってなくなっているからあまり歩いてはいけない」


と言われたそうです。


 
 それまでは、ご主人と一緒にウォーキングをしたりしていましたが、できるだけ歩かない生活に変えたそうです。


 歩く事は、人間にとって生活の中の基本動作であり、


それを禁止されてしまっては生活の質が大幅に低下してしまいます。



 動かす事を制限したために関節の動きが悪くなってしまい、


機能低下した関節を動かす際に新たな痛みが生じるかもしれません。



 そうなると、元々の痛みも新たに現れた痛みも、全ての痛みが軟骨がすり減っているせいだと思ってしまい、


更に動かすのが億劫となりまた痛みが増すといった悪循環になります。


痛い時の判断

 痛い時に、「冷やす、温める」、「安静にする、動かす」など、


どれが正解なのか自分ではなかなか判断が難しいのではないでしょうか?



 先生によって言う事が違ったり、


インターネットで調べても対処法は様々だったりします。



 ただ、安静によって良い結果が認められたデータは一つもありません。


 早期に動く方が回復が早い事が分かっています。


 
 骨折や捻挫であれば固定して安静にしますが、


むち打ち症やぎっくり腰であっても、安静にする期間が長いと回復に時間がかかることが報告されています。

過去のブログを参考にしてください ➡️  安静は回復を遅らせる




運動の鎮痛効果

 慢性痛患者の多くは、「朝起きた時が一番痛いが行動を始めると楽になる」、「同じ姿勢が続くと痛くなるなど」、動くと調子が良くなることを実感しています。


 慢性痛に対する運動の効果は知られていて、特に痛みの予防としては多くの方が実践されています。


 しかし、「痛い時は安静にする」という昔からの常識が邪魔をして、痛み出したのをきっかけに、「痛いから〇〇できない」と運動をやめてしまう人もいます。


      また、運動が身体にいい事は皆さん分かっているのですが、どのような運動をどのくらいやればいいのか分からないし、始めるきっかけがなくてできないといった人もいます。


 
 今のところ、どのような種類の運動が身体に良いのかは分かっていませんが、歩くことが痛みにも健康にも良い結果をもたらす事が多くの研究で報告されています。



 慢性痛の患者さんは、


「痛める前はもっと歩けた」とか、


「痛くて目標の30分も歩けない」など、


今の自分を受け入れられず、いきなりゴールを目指そうとしてしまいます。



 最初は長い時間歩けなくても、「今日はここまで休まないで歩けた」などとできた事を評価して、できる事を増やしていく事が大切です。



関連ページ   ➡️   安静は回復を遅らせる




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