先日メールでお問合せを頂きました。
2ヶ月前から続く腰から足にかけての痛み。検査では椎間板が狭くなり腰部脊柱管狭窄症があるとの診断です。薬や漢方薬を処方されたが効き目がなく、原因を知りたいとの事でした。
腰痛でレントゲンを撮ってわかる事はあくまでも椎間板や骨の変性でありMRIでそれを確定できます。ですが、実は画像検査で痛みの原因までは分かりません。
病院の診断名
画像検査で分かる椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が痛みの原因じゃないの？と思われる方が大半ではないでしょうか。
ですが、画像検査と痛みの関連性はあまりない事は証明されています。
痛みがなくても見つかる
研究によると、腰痛のない人を集めてMRIで調べたところ、76%以上の人に椎間板ヘルニアが見つかりました。また、高齢者の70%に腰部脊柱管狭窄症が見つかったというデータもあります。
ごくまれに神経の圧迫によって起こる危険な腰痛もありますが、大部分は検査では原因が特定できない安全な腰痛です。
腰痛の原因は一つではなく、いくつかの要因が複雑にからみあっているため、その大半は何が痛みの原因なのかを検査で特定する事はできません。
人にとって原因の分からない長引く痛みは不安の対象と言えます。
原因を見つけようと病院めぐりをしたり、インターネットや本から情報を探しますが、正確な情報を得る事は困難で、ますます不安と痛みは増えていきます。
痛みに注目しない
痛みや痛みのイメージ、不安や恐怖、怒りなどの感情は脳の「扁桃体」を興奮させます。扁桃体の興奮は痛みを鎮めるシステムの働きを低下させ、痛みを強く感じるようになります。
症状が長引く人は、常に痛いところを気にしてしまい扁桃体を興奮させています。すると扁桃体は肥大化し、扁桃体の働きをコントロールしている前頭葉は働きを停止してしまいます。
痛みは強くなり不安や恐怖も次第に増え、扁桃体の興奮が鎮まらないという悪循環に陥ります。
原因が分からなくても
痛いところに病気やケガがなくても痛みが発生する事があります。
例えば、ストレスによって交感神経が優位に働きすぎると筋肉は緊張し、血管が収縮して血流が悪くなり痛みの物質が発生します。
このようなストレス反応は、痛みのイメージや予測、ネガテイブ感情でも起こるため、痛みの原因を考えたり、そのために不安になったりする程に痛みを長引かせることになります。
つまり、原因を探したり過剰に腰を守ったりするよりも、検査で重大疾患が見つからない腰痛は安全であることを受け入れ、あまり気にせず日常通りに生活する方が早く回復します。
さいごに
腰痛になると、多くの人は病院に行ってその原因を確かめようとします。病院では骨の変形や椎間板の変性を指摘されたり、特に骨には問題ない事を告げられます。
しかし、自分の腰が異常であると強く思いこみ不安を抱えるようになると、症状の慢性化や再発につながりかねません。
世界における腰痛分野の研究では、物理的、構造的損傷が腰痛の原因とする考え方から、心理社会的因子がその原因となり発症するという考えに変わっています。
ネガテイブな古い情報ではなく、正しい知識と情報を取捨選択して考え方を修正することが、症状改善への近道と言えます。
