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ぎっくり腰による潜在的な恐怖の感情

 80歳代男性。


 半月前にぎっくり腰になり、他の整骨院に毎日通っていました。



 現在は少し改善しましたがまだ布団で横になって寝ることができず、ベッドから足だけを下におろして寝ているそうです。



 通っていた整骨院では、半月間座ったままで施術を受けていたそうです。



 発症してから半月たっても改善しないぎっくり腰なんてあるのでしょうか?




 全腰痛のなかで重大な疾患によるものは、わずか5%以下と言われています。



 それ以外の腰痛は安全な腰痛であり、風邪と同じように一定の経過で良くなっていきます。



 しかしその一方で、痛みが長引いて慢性化したり再発をくり返したりする人がいます。



 その理由は様々ですが、その1つの理由に感情が関係していることがあげられます。




 腰痛を起こす原因の1つとして、様々なストレスが関係していると言われています。



 脳がストレスを受けることによってその働きが低下したり、神経の流れに影響を与えることもあります。



 脳内物質の分泌や自律神経の働きがうまくいかず、身体の変調が現れたりします。



 また、ぎっくり腰による激しい痛みは脳に恐怖感を与え、脳の働きを変えてしまうことがあります。



 「またこのような痛みをくり返したくない」


 「動くことで痛みが増してしまうかもしれない」



 このような思考がうまれると、


 腰痛 = 危険


のようなイメージとともに不安や恐怖といった感情が生まれ、行動を制限してしまいます。



 「痛みが完全になくならないと〇〇できない」などといった考えで安静が長期にわたると、


身体的な衰えはもちろんですが、動くことへの恐怖感が増えるため痛みの悪循環がはじまります。



 痛い → 動けない → 身体や脳の機能低下 → 痛みの増加

といった具合です。



 過度の安静をたもつより、動ける範囲で動いた方が早く回復することが分かっています。 


 当院でも、初回は座ったままで施術をしましたが、2回目からはご本人の了解をとり横向きでやってみました。



 少しずつでもできることを増やし、痛くてもここまでできたという安心感を脳に与えると、脳内の痛みの興奮も次第に鎮まってきます。