先日、2人の腰痛患者さんが初診で来院されました。
2人とも、それぞれ違う原因の腰痛ですが、
前屈ができないというところは共通していました。
1人の方は、40歳代男性のAさん、
3ヶ月前にぎっくり腰になり、他の整骨院に通っていましたが、なかなか改善しなかったそうです。
初診の時には、前屈が全くできず、とても不自然な動きをされていました。
アクティベータ施術後、可動域が20°程増えたため、「動かせるところは積極的に動かして、動くことへの怖さを減らしてください」とお伝えしました。
3日後に来院された時に動きを確認してみると、40°程前に屈めていました。
私は、「最初より動きが良くなっていますね」と言ったところ、
「そうですか?でもまだ痛いんです」とお答えになられました。
もっと良いところに注目してほしかったので、背中を丸めると床に指が近づきますよ、
とアドバイスしたところ、「背中を丸めるのが怖いんです」とお話しされました。
股関節の動きは明らかに改善し、正常である45°に近づいているのですが、
恐怖感が克服できないために、自然な動きが出来ず、痛いところや悪いところに注目してしまっているようです。
もう1人、60歳代の男性Bさんは、ゴルフで痛めた左の腰を整形外科で見てもらい、
その時の診断は脊柱管狭窄症でした。
その後3ヶ月の間に段々と症状は悪化して、現在は10分歩くのがやっとの状態になりました。
Bさんもやはり前屈することができないのですが、後屈は楽にできていました。
脊柱管狭窄症の特徴は、後屈すると症状が悪化することです。
この点や痛みの発生したきっかけなどから、今回の痛みに脊柱管狭窄症は関係してないのではないかとお話ししました。
本人もこの考えに納得したところで、初回の施術を終えました。
そして、2回目に来院された時、前屈の角度を確かめると、楽に指が床に着くまでに回復していました。
「すごく良くなりましたね」と声をかけると、
「動かしていいと分かったら、怖さがなくなりました」と嬉しそうにお話しされていました。
2人の患者さんには、初診の時同じように「動ける範囲で動く」ことのメリットをお話ししたのですが、
動くことで恐怖感を克服したBさんは劇的に回復し、
一方、まだ痛みの部分に注目し、恐怖感にとらわれているAさんは回復に遅れがでてきました。
患者さんの感情の動きが、回復の早さに大きく影響することが、この症例からも分かると思います。