あなたは、「あの人のここを直して欲しい」「あの人はいくら言って変わってくれない」などと思い、イライラすることはありませんか?
よく考えてみると、自分の思うように相手が行動してくれないのは当たり前のことなのですが、多くの人は自分と相手とは同じだと思い込み、その人が自分の思う通りに行動してくれないと不快な気持ちになってしまいます。
定期的に身体の調整に来られているYさんは、最近ストレスが多く気持ちが落ち込みがちだそうです。
先日も、会社の同僚がミスをして、そのせいで周囲の人が大変な思いをしているのに、本人は自分は悪くないと言っているのを聞いて頭にきているそうです。
その件に対する上司の対応にも納得ができず、イライラが増えるばかりだとお話しされていました。
自分も含め、皆んなが自分は正しいと思い行動しているため、説得して考えや行動を改めさせようとしてもうまくはいきません。
相手の考えや行動を改めさせることにはものすごくエネルギーを使いますし、相手に働きかけたからといってそう簡単に変わるものではありません。
私は、Yさんのお話しを否定も肯定もせず聞いていましたが、ひと通り話し終えると、このように嫌な気持ちにならないためにはどうしたらいいかを尋ねられました。
まず、自分の考えを直接言葉で言わなければ、相手には伝わりようがありません。
ただ、人の行動や考えを変えることは非常に困難で、言っても何も変わらないかもしれないことを知った上で伝えることです。
自分の考えを伝えたことによって「余計なお世話」と取られ、嫌な対応をされるかもしれません。
そうすれば、相手の反応に対して更に自分が嫌な気持ちになってしまいます。
相手を変えるよりも、自分が変わる方が現実的といえます。
自分の中の正しさと、相手の正しさは違うことの方が多いことに気づきましょう。
相手にとって正しいことは、自分にとっては間違いかもしれません。
そうなると、自分にとって正しいことは、相手にとっては間違いです。
この場合、「普通はこうだろう」「一般的にはこう」といった考え方は通用しません。
Yさんに、こうした内容をお話したところ、会社であった別の事例をあげながら相手が間違いで自分が正しいことを訴えていました。
やはり、自分が正しく相手が間違っていて、その考えを正したいという考えが根底にあり、それを私に訴えて共感して欲しかったのだと思います。
このように、相手の考えを変えることは非常に困難です。
自分の考えを押しつけて、相手を言い負かすことでその時はスッキリするかもしれませんが、結局相手が変わらなければ同じことがくり返されます。
そして、ネガティブな感情は仕返しのように自分に返ってきてしまうわけです。