ストレスによって痛みが強くなることは広く知られてきています。
ストレスといっても様々で、痛みそのものに対する不安な気持ちや、不快な環境下で引き起こされる情動によるものも関係します。
たとえば、緊張すると胃が痛くなる人、歯をみがくときに腰が痛くなる人などもいるのですが、これらはストレスによって痛みが強くなることを示している事例といえます。
このように、どんな痛みであってもストレスによって痛みの強さは変化しますし、その時に何をしているか、何を考えているかでも変わります。
ストレスによって痛みが強くなる仕組みがあるのですが、強いストレスそのものに注意が向いている時には、痛みを感じなくなる時があります。
たとえば、交通事故で追突されてむち打ちになった人が、事故直後は痛みが全くなく数日してから痛くなってきたなんて話をよく聞きます。
あるいは、戦争中に銃で打たれた傷に痛みを感じない人が多くいたという報告もあります。
これらの事例は、戦争や交通事故といった強いストレスがあると、注意の焦点はそちらに向いてしまって、痛みから注意がそれるため痛くないということが分かっています。
すごく気になるストレスがあると、それが気になって痛みに全く注意が向かなくなるために痛みを感じなくなるのです。
草むしりに集中している間は痛みを忘れていたり、足首を捻ったら腰痛が楽になったという人もいます。
いつも痛みのことを考えてしまう人は、痛みを強く感じたり慢性化しやすいことが分かっています。
いつも自分の頭の中に注意が向いていると(ワーキングメモリ)痛みにも注意が向きやすくなり、痛みが強くなって、ますます痛みのことが気になってしまいます。
人には、「出来るだけ気にしないようにしよう」と考えれば考えるほど、痛みに注意が向いてしまう心理があるため、他のことに注意を向けるトレーニングが有効です。
趣味や運動の他にもマインドフルネス瞑想などは、外向きに注意を向けやすくするトレーニングとしてもおススメです。