腰と、膝の痛みで通院されている69歳女性の患者さんは、近所の整形外科でこのように言われたそうです。
「腰椎すべり症は手術をしなければ治りません」
「私(医師)では、どうにもなりません」
手術という言葉からくる恐怖と、もう治らないという不安を抱えたまま、手術をする勇気もなく2年が経過したそうです。
これ以上悪化させたくない思いから、毎日のように近くの整骨院に通い、腰の牽引をしてもらっていたそうです
1年経過した頃から左の膝が痛みだし、また同じ整形外科で検査を受けました。
「変形性膝関節症」と診断され、運動や歩くことはやらないように言われたそうです。
患者さんが、「生活の中で歩かないわけにはいかない」と言うと、「できるだけ歩かないようにしてください」と言われたそうです。
毎日かかさずやっていたラジオ体操も、やってはいけないと禁止され、すっかり落ち込んでしまったそうです。
関節にヒアルロン酸の注射をしましょうと言われましたが、それを断り整骨院の先生に相談したところ、膝に電気をあててくれたそうです。
そこでは、「ラジオ体操も、歩くこともやった方がいい」と言われたそうです。
しかし、毎日のように腰を牽引し、電気をあてても少しも良くならず、当院に来院されました。
これまでの経過を聞いて、変形性膝関節症だから歩くなというのは、少し乱暴な気がしました。
すべり症に関しても、手術しなければ治しようがないというような説明では、患者さんは不安になってしまいます。
当院に来院されるのは今日で4回目なのですが、3回の施術で膝の痛みはなくなったそうです。
腰の痛みも、今日は両側のお尻が重だるいだけとのことでした。
確かに、腰や膝の変型は手術しない限り治りません。
ただ、関節を治さなくても痛みを改善させることはできます。
それに、歩かないことによるデメリットは多く、筋力は衰え、脳の機能にも悪影響を与えます。
近年は研究が進み、運動不足によってうつ病やアルツハイマーのリスクが増えることが知られています。
注射や手術よりも大切なのは、正しい知識をもとに身体を動かすことなのです。