腰、お尻、足にかけての痛みやシビレを持っている人の多くが、病院で「脊柱管狭窄症」と診断されています。
脊柱管狭窄症になると、神経の束が通っている管が狭くなり神経が圧迫されるために、腰や足に痛みやシビレが生じると考えられています。
当院にも脊柱管狭窄症でお悩みの患者さんはたくさん来院されています。
治療によってその症状は軽くなっていきますが、管が狭くなり神経が圧迫された痛みのはずなのに、手術もせずに改善するのはなぜでしょうか?
脊柱管狭窄症の代表的な症状として「間欠性跛行」があります。
自転車や歩きはじめはなんともないのですが、しばらく歩くと足腰が鉛の入ったように重だるい痛みになり歩けなくなります。ですが、少しかがんだり座ったりして休むとまた歩けるようになる。これが間欠性跛行の特徴です。
病院でこの症状を伝えると、まずは腰部脊柱管狭窄症が疑われます。痛い場所が足にあっても腰の異常を疑って検査を行い、MRIで脊柱管狭窄症が見つかればこの病名がつくわけです。
脊柱管(神経を通す管)が狭くなる原因は加齢です。年をとれば避けられないのが骨の変形で、高齢者の70%に脊柱管狭窄症が見つかったというデータもあります。
痛みがない高齢者でも検査をすれば腰の異常が見つかるため、脊柱管狭窄症が見つかってもそれが痛みの原因かどうかは調べようがありません。
ですが、痛みがあろうがなかろうが腰に構造的な異常が見つかれば、その診断名がつくことになっています。
つまり、腰に脊柱管狭窄症があっても痛みのない人は多く、痛みの原因とは言えないわけです。
「そう言われても、私の場合は脊柱管狭窄症も痛みも両方あるから痛みの原因でしょう」と言われる方もいらっしゃいます。
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痛みのない人にも脊柱管狭窄症がある
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痛みがあるけど検査で異常なし
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痛みがあって脊柱管狭窄症があるけど自然に良くなった
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手術は成功したが痛みが残っている
多くの人は、このような矛盾に薄々気がついていても、骨の構造異常と痛みを関連づけて考えてしまいます。
痛みの原因は一つではなく様々な要因が絡みあっています。
ただ、人は自分の持っている知識の中で正しいと思うことを選択し信じます。特に医師、テレビ、インターネットから得た情報は強い印象として脳に記憶され、信念のようになっています。
近年腰痛の研究が進み、骨や椎間板の構造異常と痛みはあまり関連しないことが分かってきました。
もちろん神経の圧迫による危険な腰痛もありますがそれは全腰痛の1〜5%に過ぎないため、あまり心配し過ぎず適度にからだを動かすことが大切といえます。